第66回ピアノのゆふべ 進化 ピアニスト 久保亮太

Presented by 株式会社協立商会
第66回ピアノのゆふべ 進化 ピアニスト 久保亮太

この度、東御市文化会館様にてこのような企画に参加させていただいたこと、大変嬉しく思っております。
未だコロナウイルスの収束が見えず、コンサート等も開催することが難しい中で、動画という手段を使って皆様に演奏をお届けすることができるのは大変喜ばしいことです。今回の動画制作に関わっていただいた全ての皆様に感謝申し上げます。 
このような大変な時期だからこそ、芸術は必要なものであると私は感じています。一人でも多くの方に自分の音楽が届き、楽しんでいただければ幸いです。

ピアニスト 久保亮太 プロフィール

photo by Sho Makishima

長野市出身。第28回長野県ピアノコンクール高校生の部最優秀賞及び大賞。第38回ピティナ・ピアノコンペティションG級銀賞及び王子ホール賞、洗足学園前田賞受賞。第20回コンセールマロニエ21入選。東京、長野を中心に演奏活動を行なっている。
大学同期のフルーティスト、尾崎勇太とともにデュオユニット「tne green horn」を結成。枠に囚われないことをモット-に活動している。
2021年6月には3rd album“nostalgia”をリリース。それにあわせ東名阪ツアーを敢行。これまでに、丸山ゆり、羽石道代、多美智子、坂井千春の各氏に師事。東京藝術大学器楽科ピアノ専攻卒業。現在、同大学院音楽研究科修士課程器楽専攻(ピアノ)在学中。

演奏曲

ドビュッシー 映像第一集より 水の反映

クロード・ドビュッシー(1862〜1918)はフランス人作曲家です。彼は交響詩「海」をはじめとして”水”をテーマにした曲を数多く残しています。この映像第一集の一曲目である「水の反映」もそのうちの一つであり、水面に落ちた水滴が波紋を描いていくような印象を受けます。
静と動が混在しており、水のしなやかさ、流動性が存分に表現された一曲になっています。

シャミナード 荒れ果てた祖国にて

セシル・シャミナード(1857〜1944)はフランスの女性作曲家です。彼女は自作の出版と演奏活動によって生計を立てたはじめての女性作曲家とも言われており、近年その活躍が注目されつつあります。
今回演奏する「荒れ果てた祖国にて」は第一次世界大戦下の荒廃した自国フランスにむけて書かれた作品と言われています。多くの犠牲を出した戦争に対する嘆き、怒り、そして亡くなっていった人々への哀悼の意が込められた作品となっています。

RAIN(2021 edition) 1.prelude 2.shade 3.you -after the rain-

1.prelude
明け方。まだ薄暗い都会の空。
高層ビルの赤色灯は霧に包まれ淡く光る。
次第に濡れてゆくアスファルト。
冷たい風が雨の匂いを運んでくる。

2.shade
とあるアパートの一室。窓に打ちつける雨風。
遠くから聞こえて来る救急車両のサイレン。
最後のメールを見返すのはもう何度目のことだろう。
暗い部屋の中、彼女は静かに涙を流す。

3.you -after the rain-
夕暮れ時、突然の雨。
玄関には水を吸い重たくなった2人の靴ー
窓を開けると、もう雨は止んでいた。
湿気を含んだ空気に混ざるインスタントコーヒーの香り。
こんな時間がずっと続けばいいのに、そう思った。

令和3年7月11日 撮影