Presented by株式会社協立商会
第68回ピアノのゆふべ 「夜半の秋にピアノは詠う」
ピアノ 滝沢栞理
この度はこのような素敵な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。幼少期からお世話になってきたサンテラスホールで演奏させていただけましたこと、大好きなショパンの作品を収録させていただけましたことがとても幸せです。3月に大学を卒業し、社会人1年生として新しく歩み始めたわたしですが、子どもたちとの関わりを持つ中、また演奏をさせていただく中で、コロナ禍であっても音楽って楽しい!音楽を聴くと元気になる!そんな気持ちを忘れないでいてほしい、という思いが以前より強くなってまいりました。動画をご視聴いただきました皆さまが、音楽を楽しいと感じてくださったり、心が引きつけられる音楽と出逢われるきっかけになってくださったら嬉しいです。最後にJs文化フォーラムの皆さま、東御市文化会館の皆さま、収録に関わってくださいました全ての皆さまに感謝申し上げます。
ピアノ 滝沢栞理 プロフィール
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て、2021年3月に桐朋学園大学音楽学部を卒業。
これまでにピアノを金井明子、岡部由美子、小山香織、深沢雅美、玉置善己、江澤聖子の各氏に師事。室内楽を神田寛明、三輪郁の各氏に師事。
第27回長野県ピアノコンクール最優秀賞、第7回東京ピアノコンクール審査員特別賞、第11回セシリア国際音楽コンクール第2位、第20回日本演奏家コンクール入選。
第7回蓼科音楽コンクールin東京の受賞者コンサートに出演。桐朋入学時より長野桐朋会主催 夏の夕べのコンサートに出演。東御市文化会館主催 ピアノのゆふべ#55,#61に出演。
現在は小学校にて音楽科の講師を務めながら、演奏活動を行なっている。
演奏曲
ショパン 即興曲 第4番 「幻想即興曲」 Op.66 CT46 嬰ハ短調
ショパン自身が失敗作だ、ほかの曲と似てしまった、と言ったことから彼が生きている間には出版はされず、彼が信頼を寄せていた友人が公式な形で遺作集として出版しました。ショパンの遺言としては「わたしが亡くなったら、遺した楽譜を焼却してほしい」という説がありますが、「完全なものを出版したい」というショパンの想いを汲み取った上での出版だったということです。駆け抜けていく疾走感や懐かしさをまとった美しい旋律、その対比に浸っていると夢から戻って走り出し、劇的な終盤へと向かっていく…まるで1つの物語のようにドラマティックな展開で、魅力に富んだ作品です。
ショパン ポロネーズ 第6番「英雄」Op.53 CT155 変イ長調
芸術の都であるパリにて音楽活動をしていた20歳のショパンは、その頃に起こったフランス革命によって故郷であるポーランドと引き離されてしまうこととなりました。祖国が侵略されていくことで様々な思いを巡らせていたであろう彼ですが、栄枯盛衰する中でも勇壮に生きていくんだ、というエネルギーをこの作品から感じます。作品全体に散りばめられた、幼き日にショパンが親しんだポロネーズのリズムや、豊かな和声の響き、中間部で現れる左手によるオクターブの連打音と遠くから聞こえるファンファーレの旋律、記憶と現実を彷徨うようなシーン、一つひとつの場面が思い浮かんでくることもお楽しみいただける作品です。ショパンが愛した祖国への思いを感じていただけますと幸いです。
撮影日:令和3年9月25日